内視鏡検査についてのQ&A
胃内視鏡検査(胃カメラ)について
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Q.01胃カメラとは・・・
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上部消化管内視鏡といい、食道・胃・十二指腸を内側から見る検査法です。
当クリニックでは、通常の太さ(小指くらい)の内視鏡を口から、細径内視鏡(直径わずか5.5mm!)は鼻から挿入しています。
カメラで病気が見つかった場合、組織を採取して顕微鏡で調べることもできます。 -
Q.02食事制限は・・・
- 検査時に、胃の中が空になっている必要がありますので、前日夜10時以降は食事をしないでください。飲み物は少量のお水であればかまいません。お薬を飲む場合も同様です。
検査終了後は、のどの麻酔が切れるまで1時間ほど飲食ができません。 -
Q.03検査を受けたほうがいいのはどんな時・・・
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・ものがうまく飲み込めない、つかえる。
・胸やけがある。
・酸っぱい水や苦い水が上がってきやすい。
・食事をしてもすぐ満腹になる。
・胃が痛い。
・黒い便が出る。 -
Q.04胃カメラを飲むときは苦しいのでしょうか?
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痛みの感じかたには個人差があります。しかし、口からものを入れるわけですから、何も感じないことはないので、検査時にはのどに部分麻酔をします。患者さんのご希望に応じて、うっすら眠るくらいの鎮静剤を使って麻酔下での検査を行うことも可能です。麻酔下での検査ですと、痛みや違和感を感じることはありませんが、全身に作用する麻酔薬なので、使用には細心の注意を払っています。
胃カメラが胃に入ってからは、痛いというよりは「何か入っている」といった異物感や、ものが詰まったような感じがします。また、観察しやすくするために空気を送って胃をふくらませるので、膨満感があります。 -
Q.05胃カメラを飲むときの注意点は?
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負担なく内視鏡検査を受けるには、検査を受けるにあたって体調を整えておくことが重要です。また、緊張していたり、不安な状態だと、からだが敏感に反応してしまうので、十分にリラックスして、検査に臨んでください。
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Q.06どの位時間がかかるの?
- 検査にかかる時間は、検査全体で20~30分程度で、実際に胃カメラ(胃内視鏡)が体内にはいっている時間は8分程度です。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)について
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Q.01どのような人が検査を受けなければならないのでしょうか?
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大腸がん検診で便潜血が陽性になった方、血便、下血などの症状があった方は全員。大腸ポリープを指摘されたことがある方や大腸がん術後の方は1~2年に1度程度検査した方がいいでしょう。
その他、便通異常(便がすっきり出ない、便秘、下痢などが続いている)のある方も検査されると良い思います。
潰瘍性大腸炎などの特殊な腸炎に罹られている方は経過観察のために毎年検査することをお勧めします。 -
Q.02検査は痛いのでしょうか?
- 曲がりくねった長い大腸をカメラが進んでいくので、腸が伸ばされたり、引っ張られたりする時、あるいは、空気を入れて観察するため腸が膨らんだ時に痛みを感じます。
当クリニックでは鎮痛剤を用い、鎮静剤で眠った状態で安心して検査が受けられます。 -
Q.03どのくらい時間がかかるのでしょうか?
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人によって大腸の長さや曲がり具合は様々です。10分位で終わる方から30分程度かかる場合もあります。
検査準備と検査後の安静時間まで含めると、来院してから帰宅まで半日程度時間が必要です。 -
Q.04食事制限や下剤の必要はありますか?
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検査前日は、一日検査食だけを召し上がっていただき、寝る前に下剤を服用します。
検査当日は午前中から2Lの腸管洗浄剤(腸管洗浄用の錠剤の場合は50錠内服します)を内服して腸内をきれいにした後、午後から検査を行います。 -
Q.05内視鏡検査のときおしりが見られるのでしょうか?
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検査の際、肛門側に穴が開いている検査用のパンツを穿いていただきます。
検査室は閉鎖された空間で検査中は部屋が暗くなりますし、明るい場所でお尻が丸見えということにはなりません。 -
Q.06内視鏡による感染は大丈夫でしょうか?
- 当院では、1件ごとに内視鏡を手洗いし、酸性電解水を用いた自動洗浄機で確実に洗浄・消毒するため常に清潔な内視鏡で検査が受けられます。
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Q.07内視鏡は保険がきくのでしょうか?
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大腸がん検診(便潜血反応)で陽性になった方や、腸の症状がある方は健康保険で検査が受けられます。
その場合、3千円~2万円(自己負担率・検査内容によって変わります)。自費の場合、検査を行うだけでも3.5万円位かかります。 -
Q.08内視鏡でがんを治すことはできますか?
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内視鏡治療の適応はがんの深さと大きさで決まります。早期の大腸がんのうち粘膜内がん(がんの深さが粘膜内にとどまるもの)は大腸カメラで切除することが可能です。粘膜より深いがんも一部は内視鏡的切除の対象になります。
それ以上深いがんは開腹手術となります。
大腸がんについて
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Q.01どんな症状があるのでしょうか?
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小さいポリープのうちは症状が全くありません。
がんが大きくなってくると、下血(下血、血便)、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満、便通異常(便がすっきり出ない、残便感がある、便が細い)のような様々な症状が出現します。 -
Q.02どんな検査があるのでしょうか?
- 進行がんを発見するスクリーニング検査として広く行われているのは便潜血反応検査です。これは、自宅で便を少し取るだけの簡単な検査です。
便潜血反応が陽性になった方は、大腸カメラ(内視鏡検査)を行います。
その他に、肛門からバリウムを注入してレントゲンを撮影する「注腸検査」を行うこともあります。やはり、大腸カメラで腫瘍の組織を採取することで確定診断となります。 -
Q.03治療法にはどんなものがあるでしょうか?
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ポリープが小さいうちは、無理に切除しなくても経過観察で十分です。やや大きくなってきたものは、(がん化する可能性を考えて)内視鏡で切除することが可能です。
がんとしてある程度の大きさになってきた場合、開腹手術(あるいは腹腔鏡手術)となり、がんを含んだ大腸を切除することが標準的治療です。肛門に近い部分にできる一部の直腸がんでは、肛門ごと切除して人工肛門になる場合もあります。
手術で取りきれないがんは抗がん剤治療の適応となります。 -
Q.04大腸がんにかかった家族がいるのですが?
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家族性に発症・遺伝するポリポーシスが元になる大腸がんや、ポリポーシスとは関係ない遺伝性の大腸がんもありますが、むしろ、遺伝では証明されない単発性の大腸がんも多いのです。
特殊な腸炎の中には、炎症が長年続いた結果、大腸がんが発生することも知られています。 -
Q.05大腸がんの発症は食事と関係があるのでしょうか?
- かつては日本人に少なく、欧米人により多く発症していたこともあり、肉食中心だったり食物繊維が少ない食生活、運動不足、便秘が原因のひとつに考えられていましたが、最近の研究では、肉食も、食物繊維も関係ないとの報告もあります。
逆流性食道炎(胃食道逆流症)について
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Q.01逆流性食道炎(胃食道逆流症)とは?
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食道と胃の境目を締めつける筋肉が緩むと、胃液が食道へ逆流して、胸焼けなどの症状が起こることがあります。
逆流した胃液に含まれる胃酸によって、食道の粘膜に炎症が起こり傷がついている場合には「逆流性食道炎」と呼ばれます。ところが、最近、胸焼けなどの症状はあっても、食道の粘膜に傷がない患者さんも多いことがわかってきました。
そのため、食道の粘膜に傷があるかないかにかかわらず、胃液の逆流によって胸焼けなどの症状が起きている状態をまとめて、最近では「胃食道逆流症」ととらえるようになってきました。 -
Q.02どんな症状があるでしょうか?
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逆流性食道炎(胃食道逆流症)の典型的な症状は、次の2つです。
▼胸焼け……みぞおちの辺りから胸の下の方にかけて、チリチリと焼けるような不快感が起こります。胸全体が熱いと感じることもあります。
ほかに「胸の痛み」「咳」「声がれ」「のどの不快感」などが起こることもあり、狭心症やぜんそくなどと間違われることもあります。
▼呑酸……胃液がのどの奥や口までこみ上げて、酸っぱく感じます。 -
Q.03どんな検査があるでしょうか?
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逆流性食道炎(胃食道逆流症)は、主に問診や内視鏡検査で診断が行われます。問診では、胸焼けの程度や頻度、起こるタイミングなどについて、また食生活などについても確認します。
内視鏡検査では、食道の粘膜の状態のほか、胃がんや食道がんが隠れていないかなどを確認します。
そのほか、胃酸の分泌を抑える薬を試験的に1週間ほど投与してみて、症状が改善するか調べる方法もあります。 -
Q.04治療法にはどんなものがあるでしょうか?
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●日常生活の見直し
逆流性食道炎(胃食道逆流症)と診断された場合は、「食生活」や「寝るときの姿勢」など日常生活を見直します。食生活の主な注意点は、次のとおりです。
▼食べすぎない……腹八分目とし、食べすぎによって胃酸が過剰に分泌されたり、食道と胃の境目が緩んだりするのを防ぎます。
▼食べてすぐ横にならない……食後2~3時間は横になるのを避けます。
▼逆流を起こしやすい食べ物を控える……肉類など脂肪の多い食べ物、チョコレートや和菓子などの甘い食べ物、ワインなどのアルコール飲料をとりすぎると、胃酸の分泌が盛んになったり、食事に影響で分泌されるホルモンの作用で食道と胃の境目が開きやすくなったりします。夜間就寝中に胸焼けが起こる場合は、上半身全体が高くなる姿勢で寝るようにします。また、体の左側を下にして横向きに寝ると、逆流が起こりにくくなるといわれています。
●薬物療法
●手術
日常生活の見直しを行っても症状が改善しない場合などは、薬物療法が行われます。
薬物療法では、主に胃酸の分泌を抑える「プロトンポンプ阻害薬」と「H2ブロッカー」が使われます。胃酸の分泌量が減ると、胃液が逆流しても食道粘膜への刺激が少なくなり、症状が起こりにくくなります。プロトンポンプ阻害薬は、効果の高い薬で、多くの場合症状を抑えることができます。H2ブロッカーには、即効性があります。
ただし、薬物療法で食道と胃の境目の筋肉の緩みが解消されるわけではありません。多くの場合、薬は長期にわたって使う必要があることも知っておきましょう。
食道裂孔ヘルニアがあり、胸焼けなどの症状が強く、薬で症状を抑えられない場合には、手術が行われることがあります。
手術は「噴門形成術」といい、食道裂孔ヘルニアなどで緩くなった境目部分に、胃の一部を襟巻きのように巻きつけて、境目を締めつけます。これによって、逆流そのものを防ぎます。症状が強く手術が必要と判断される場合には、責任をもって速やかに専門医のいる病院をご紹介いたします。 -
Q.05逆流性食道炎になりやすい人は具体的にどのような人たちですか?
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逆流性食道炎(胃食道逆流症)は,以前よりお年寄りに多い病気と考えられてきましたが、最近では比較的若い年代の方にも起こることがわかってきました。
▼お年寄りの場合……お年寄りでは、胃の一部が横隔膜の上にはみ出す「食道裂孔ヘルニア」を伴うことが多く、そうなると、食道と胃の境目は緩くなります。この場合は、はみ出した部分の胃で分泌される胃液が逆流しやすくなります。
▼比較的若い年代の場合……健康な人でも、食べすぎたり飲みすぎたりして胃が膨らむと、胃と食道の境目が緩んで、ゲップが出ます。これは健康な人にも起こる生理現象です。また、食べすぎたり飲みすぎると、胃酸の分泌も盛んになります。若い年代では、限度を越えて食べすぎたり飲みすぎたりすると、食べ物が通過するタイミングでもないのに境目が緩み、胃液の逆流が頻繁に起こります。特に、夜遅い時間に多量に飲食したあと、すぐに就寝すると、姿勢の影響も加わって、より逆流が起こりやすくなります。